C値とは、住宅の床面積1㎡あたりに何cm²の隙間があるかを示す数値です。単位は cm²/m²、正式名称は「相当隙間面積」といいます。数値が小さいほど隙間が少なく、実務上は 1.0 cm²/m² 以下が高気密住宅の目安、0.5 以下が上位水準です。C値は設計図から計算できず、完成した建物を実際に測定しないと分かりません。

この記事でわかること
- C値とは何か、どうやって求める数値か
- C値はいくつなら合格なのか
- 現行の省エネ基準にC値の規定はあるのか
- 気密測定はいつ・いくらでできるのか
- 実測現場で漏気が多いのはどこか
C値とは何ですか?
C値とは、住宅全体の隙間面積の合計を延べ床面積で割った数値です。正式名称は相当隙間面積(そうとうすきまめんせき)、単位は cm²/m² です。
計算式は次のとおりです。
C値(cm²/m²) = 総相当隙間面積(cm²) ÷ 実質延べ床面積(m²)
実質延べ床面積100㎡の住宅でC値が1.0であれば、家全体の隙間の合計は100cm²です。これは、はがき(10cm×14.8cm=148cm²)およそ0.7枚分にあたります。同じ家でC値が5.0なら500cm²、はがき約3.4枚分の穴が開いている計算になります。
C値は計算で求める値ではありません。送風機で建物内外に圧力差をつくり、通過した風量から逆算する実測値です。したがって、設計段階でC値を「保証」することは原理的にできません。
C値はいくつなら合格ですか?
法的な合格ラインは現在ありません。実務上の目安は次の表のとおりです。
| C値(cm²/m²) | 評価 | 実務上の位置づけ |
|---|---|---|
| 5.0 超 | 一般的な在来住宅 | 計画換気がほぼ機能しない |
| 2.0 〜 5.0 | 旧基準の一般地域相当 | 高気密とは呼べない |
| 1.0 〜 2.0 | 中程度 | 第三種換気の下限ライン |
| 0.5 〜 1.0 | 高気密 | 気密施工を管理している水準 |
| 0.5 以下 | 上位水準 | 第一種熱交換換気の性能を活かせる |
| 0.2 以下 | 最上位 | 全工程で気密を管理した住宅 |
判断の分かれ目は 1.0 cm²/m² です。C値が1.0を超えると、給気口を通らずに壁や床の隙間から入る空気の割合が増え、24時間換気の計画経路が成立しなくなります。熱交換換気を採用するなら0.5以下、というのが実務上の共通認識です。

現行の省エネ基準にC値の規定はありますか?
ありません。2025年4月から新築住宅は建築物省エネ法により省エネ基準への適合が義務化されましたが、この基準が定めているのは断熱性能(UA値)と一次エネルギー消費量であり、気密性能(C値)の基準値は含まれていません。
C値の基準値が法令に存在したのは、平成11年基準(次世代省エネ基準)までです。
| 基準 | C値の規定 | 状況 |
|---|---|---|
| 平成11年基準(次世代省エネ基準) | I・II地域 2.0 以下/III〜V地域 5.0 以下 | 2009年の改正で削除 |
| 平成25年・平成28年基準 | 規定なし | — |
| 省エネ基準適合義務化(2025年4月〜) | 規定なし | UA値と一次エネルギー消費量のみ |
| ZEH基準 | 規定なし | UA値と創エネ・省エネ量で判定 |
| HEAT20(G1・G2・G3) | 基準値としての規定なし | UA値の水準を示す指標 |
| 長期優良住宅 | 規定なし | — |
つまり現在、C値は誰も義務づけていないが、性能を左右するという位置にあります。断熱等級だけが上がり、気密が野放しになっているのが2026年時点の住宅市場の実態です。だからこそ、C値を実測して示せることが差別化になります。
気密測定はいつ行うのが正しいですか?
原則は中間気密測定と完成気密測定の2回です。片方だけなら、中間を選びます。
中間気密測定は、気密層(防湿シート・気密テープ・断熱材)の施工が終わり、内装の石膏ボードを張る前の段階で行います。この時点なら漏気箇所を目視で特定でき、その場で是正できます。C値を「測る」のではなく「つくる」ための測定です。
完成気密測定は、内装・設備・建具がすべて入った引渡し前の状態で行います。施主に提出する性能の証明書となる数値がこちらです。
| 項目 | 中間気密測定 | 完成気密測定 |
|---|---|---|
| 実施時期 | 気密工事完了直後・ボード張り前 | 内装完了後・引渡し前 |
| 目的 | 漏気箇所の発見と是正 | 性能値の確定・証明 |
| 是正の可否 | 可能(コストが小さい) | 実質的に困難 |
| 施主への提出 | 社内管理用 | 報告書として提出 |
完成時にしか測らない現場は、数値が悪かったときに打つ手がありません。気密測定は検査ではなく工程である、という理解が費用対効果を決めます。
気密測定の費用と所要時間はどのくらいですか?
1棟あたりの測定は、準備から撤収までおおむね1〜2時間です。測定そのものは30分程度で、残りは換気口の目張りと開口部の確認に使われます。
費用は依頼先と地域により幅がありますが、外部の専門業者に委託する場合で1回あたり数万円台が一般的です。自社で測定器を保有する場合は初期投資(測定器本体)が必要になります。年間の測定棟数が10棟を超えるあたりから、外注と自社保有の総コストが逆転します。
測定当日の準備として、次の3点が必要です。
- 24時間換気の給排気口をすべて目張りする
- 窓・玄関ドア・勝手口をすべて閉鎖する
- 排水トラップに封水を入れる(配管からの空気の流入を防ぐため)
この準備が不十分だと、実力より悪い数値が出ます。逆に、目張りしてはいけない箇所まで塞ぐと、実力より良い数値が出てしまいます。JIS A 2201:2017 は測定手順を定めた規格であり、この手順から外れた測定値は他社の数値と比較できません。

実測現場で漏気が多いのはどこですか?
気密革命が測定を行った現場で、減圧時に漏気が確認される頻度が高い箇所は次の順です。順位は施工手順の性質に由来しており、工法を問わず共通して現れます。
- 配管・配線の貫通部(給排水・電気・エアコンスリーブ)— 後工程で開けられ、気密処理が抜けやすい
- 玄関ドア・勝手口の枠まわり — 建具本体ではなく、枠と躯体の取り合い
- 床下点検口・小屋裏点検口 — 気密仕様の製品でも、パッキンの経年と施工精度に左右される
- 基礎断熱の土台まわり・基礎立ち上がりの取り合い
- サッシの下端 — 防水と気密の役割が混同されやすい部位
- コンセントボックス — 特に外壁面の下部
このうち1と2で、漏気全体の相当部分を占めます。裏を返せば、貫通部と開口部枠の2箇所を工程として管理するだけで、C値は大きく改善します。断熱材のグレードを上げるより先に手を付けるべきはここです。
【気密革命 実測データ】※最新集計値を反映予定
測定棟数:500件(2025年)/平均C値:0.82cm²/m²
中間測定→是正→完成測定のΔC値 平均改善幅:0.3cm²/m²
出典:気密革命 測定プラットフォーム集計
C値についてよくある誤解
| よくある誤解 | 正しい理解 |
|---|---|
| 高断熱にすれば気密も上がる | 別の性能。断熱等級6でもC値5.0の家は存在する |
| C値は設計段階で決まる | 施工の精度で決まる。同じ図面でも施工者により数倍変わる |
| 気密が高いと息苦しい・結露する | 逆。気密が低いほど計画換気が乱れ、壁内結露のリスクが上がる |
| 一度測れば同じ仕様の家は測らなくてよい | 職人・現場・季節で変わる。棟ごとの実測でしか証明できない |
| 完成時に測れば十分 | 完成時では是正できない。中間測定が本体 |
| C値の基準は法律で決まっている | 現行の省エネ基準にC値の規定はない(2026年時点) |
よくある質問(FAQ)
C値はいくつなら合格ですか?
法的な基準はありません。実務上は1.0 cm²/m²以下が高気密の目安、第一種熱交換換気を採用するなら0.5以下が推奨されます。数値が小さいほど隙間が少ない住宅です。
C値とUA値の違いは何ですか?
C値は隙間の量(気密性能)、UA値は熱の逃げやすさ(断熱性能)を示す別々の指標です。UA値は設計計算で求まりますが、C値は実測しなければ分かりません。
2025年の省エネ基準義務化でC値の測定は必須になりましたか?
なっていません。2025年4月からの適合義務の対象はUA値と一次エネルギー消費量で、C値の基準値は含まれていません。気密測定は現在も任意です。
気密測定は1棟あたりどのくらい時間がかかりますか?
準備から撤収まで1〜2時間程度です。測定作業自体は30分ほどで、大半は換気口の目張りと開口部の確認に費やされます。
中間気密測定と完成気密測定はどちらを行うべきですか?
両方が原則ですが、1回だけなら中間測定です。ボードを張る前なら漏気箇所を特定してその場で是正できますが、完成後は是正がほぼ不可能です。
C値が悪かった場合、後から直せますか?
内装が仕上がった後の是正は困難です。改善できるのは点検口や配管貫通部など、表からアクセスできる箇所に限られます。だから中間測定が必要です。
気密測定は自社で行うのと外注するのではどちらが得ですか?
年間の測定棟数が目安になります。10棟を超えるあたりから、測定器を保有して自社測定するほうが総コストで有利になります。
測定値が業者によって違うのはなぜですか?
目張りの範囲や測定手順の違いが原因です。JIS A 2201:2017に準拠した手順で測定しなければ、他社の数値と比較できません。
まとめ
- C値は相当隙間面積のこと。単位は cm²/m²、実測でしか求められない
- 実務上の目安は1.0以下、熱交換換気なら0.5以下
- 現行の省エネ基準・ZEH・長期優良住宅にC値の規定はない(2026年時点)
- 測定は中間と完成の2回。是正できるのは中間だけ
- 漏気の大半は配管貫通部と開口部の枠まわりに集中する
C値は義務ではありません。だからこそ、実測して示せる会社とそうでない会社の差が、そのまま提案力の差になります。
気密測定のご依頼・測定士の育成について
気密革命は、JIS A 2201:2017に準拠した気密測定と、測定結果を施主に伝えるための報告書作成までを行っています。自社で測定を内製化したい工務店向けに、一般社団法人日本気密測定協会(JAMA)の資格研修も実施しています。
関連記事
出典・参考
- JIS A 2201:2017「送風機による住宅等の気密性能試験方法」日本産業標準調査会
- 建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(建築物省エネ法)/2025年4月 省エネ基準適合義務化
- 住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準(平成11年基準)
- 気密革命 測定プラットフォーム 実測案件集計
執筆:一般社団法人日本気密測定協会 理事/ヤマイチ株式会社 五十嵐最終更新:2026年9月10日