気密測定とは、送風機で建物の内外に圧力差をつくり、そのとき流れた空気の量から建物全体の隙間面積を逆算する試験です。JIS A 2201:2017「送風機による住宅等の気密性能試験方法」に手順が定められています。設計図からは分からない施工の精度そのものを数値化できる、唯一の方法です。

この記事でわかること
- 気密測定は何を測っている試験なのか
- 測定で得られる数値は何種類あるのか
- 測定にはどんな条件が必要なのか
- 気密測定で分かること、分からないこと
- 誰が測定を行うのか
気密測定では何を測っているのですか?
測っているのは隙間そのものではなく、空気の流れる量です。
住宅の隙間は、壁の中・配管まわり・建具の取り合いなど無数の場所に分散しており、一つずつ測ることはできません。そこで、窓などの開口部に送風機を取り付けて室内の空気を排出し、室内を屋外より低い圧力にします。すると隙間から空気が入り込みます。このとき送風機が排出した風量が、そのまま「隙間を通って入ってきた空気の量」と等しくなります。
風量と圧力差の関係が分かれば、同じ量の空気を通すのに必要な穴の大きさを計算できます。これが隙間面積です。JIS A 2201:2017では、圧力差9.8Paのときの通気量から総相当隙間面積を求めると定めています。
気密測定で得られる数値は何種類ありますか?
3種類です。一般に注目されるC値のほかに、隙間の「質」を示す2つの値が出ます。
| 記号 | 名称 | 意味 | 実務での見方 |
|---|---|---|---|
| C | 相当隙間面積 | 総相当隙間面積 ÷ 実質延べ床面積(cm²/m²) | 小さいほど隙間が少ない。1.0以下が高気密の目安 |
| n | 隙間特性値 | 隙間の性質を示す値。一般に1〜2の範囲 | 1に近い=細かい隙間が分散/2に近い=大きな開口が支配的 |
| a | 通気率 | 圧力差1Paのときの1時間あたり通気量 | 建物全体の漏気のしやすさ |
現場で効くのはn値です。C値が同じでも、n値が2に近ければ「どこかに大きな穴が1箇所ある」可能性が高く、探せば直せます。n値が1に近ければ、隙間が全体に薄く散っている状態で、部分的な補修では改善しません。C値だけを見て報告書を閉じるのは、情報の3分の2を捨てているのと同じです。

気密測定にはどんな条件が必要ですか?
JIS A 2201:2017は、測定環境まで規定しています。条件を外した測定値は、規格に準拠した値として扱えません。
| 項目 | 規定 |
|---|---|
| 測定方法 | 原則として1住戸を対象とした減圧法 |
| 外部風速 | 3m/s以下(ビューフォート風力階級2以下) |
| 室内温度 | 5〜35℃ |
| 圧力差 | 10〜50Paの範囲でほぼ等間隔に5点以上 |
| 測定回数 | 3回以上 |
強風の日に測ると、風圧が測定値に乗ってしまいます。「今日は風が強いので日を改めます」と言う測定者は、手を抜いているのではなく規格を守っています。
気密測定で分かることと、分からないことは何ですか?
分かるのは「どれだけ漏れているか」であって、「どこから漏れているか」ではありません。
分かること
- 建物全体の隙間の総量(C値)
- 隙間の性質(n値・a値)
- 同じ会社の他の現場と比べた施工精度のばらつき
分からないこと
- 断熱性能(UA値)。気密と断熱は別の性能です
- 漏気箇所の位置。数値には現れません
- 換気設備が正しく動いているかどうか
漏気箇所の特定は、測定とは別の作業です。減圧状態を維持したまま、手の甲で風を探る、スモークマシンで気流を可視化する、サーモグラフィで温度差を見る、といった方法を併用します。
測定と漏気箇所の特定はセットで初めて意味を持ちます。数値だけを渡して帰る測定は、体温計の値だけ告げて診察しない医者と同じです。
建物条件1と建物条件2の違いは何ですか?
JIS A 2201:2017は、換気設備の扱いによって2つの条件を規定しています。どちらで測ったかによって数値が変わります。
| 建物条件1 | 建物条件2 | |
|---|---|---|
| 対象 | 外皮のみ | 局所換気設備を含めた外皮 |
| 換気設備の扱い | テープで気密処理する | レンジフード等をその状態のまま測定 |
| 出る数値 | 良くなる | 建物条件1よりは悪くなる |
| 主な用途 | 施工品質の評価 | 実際の居住状態に近い評価 |
他社の公表値と自社の値を比べるときは、まずこの条件を揃えてください。条件1の値と条件2の値を並べて優劣を語ることに意味はありません。

誰が気密測定を行うのですか?
法律上の業務独占資格はありません。測定器を持ち、JIS A 2201:2017の手順を守れる者であれば実施できます。
一方で、手順の解釈と目張りの範囲に判断が入るため、測定者の力量が数値を左右します。目張りをしすぎれば実力より良い数値が出ますし、目張りを忘れると実力より悪い数値が出ます。
一般社団法人日本気密測定協会(JAMA)が資格制度を設けているのは、この判断部分を標準化するためです。
よくある質問(FAQ)
気密測定とはどんな試験ですか?
送風機で室内外に圧力差をつくり、そのとき流れた空気の量から建物全体の隙間面積を逆算する試験です。JIS A 2201:2017に手順が定められています。
気密測定で分かる数値は何ですか?
C値(相当隙間面積)、n値(隙間特性値)、a値(通気率)の3つです。C値が隙間の量、n値が隙間の性質を示します。
気密測定で漏気箇所は分かりますか?
測定値だけでは分かりません。減圧状態を保ったまま、手で風を探す、発煙器で気流を見る、サーモグラフィで温度差を見るなど、別の作業で特定します。
気密測定は風が強い日でもできますか?
できません。JIS A 2201:2017は外部風速3m/s以下と定めています。強風時は風圧が測定値に影響するため、日を改める必要があります。
気密測定に資格は必要ですか?
法律上の業務独占資格はありません。ただし目張りの範囲など判断が数値を左右するため、一般社団法人日本気密測定協会(JAMA)などが資格制度を設けています。
建物条件1と建物条件2はどちらで測るべきですか?
目的によります。施工品質を評価するなら条件1、実際の居住状態に近い評価をするなら条件2です。他社の数値と比較するときは条件を揃えてください。
気密測定で断熱性能も分かりますか?
分かりません。気密(C値)と断熱(UA値)は別の性能です。C値は実測、UA値は設計計算で求めます。
ただし、気密測定中に断熱欠損箇所が見つかることは多くあります。
まとめ
- 気密測定は、風量から隙間面積を逆算する実測試験
- 得られるのはC値・n値・a値の3つ。n値は漏気箇所の探索に効く
- 風速3m/s以下、室温5〜35℃など測定条件がJISで定められている
- 分かるのは漏れの総量。漏気箇所の特定は別作業
- 建物条件1と2で数値が変わるため、比較時は条件を揃える
気密測定のご依頼・測定士の育成について
気密革命は、JIS A 2201:2017に準拠した気密測定と、漏気箇所の特定、施主に説明するための報告書作成までを行っています。自社で測定を内製化したい工務店向けに、一般社団法人日本気密測定協会(JAMA)の資格研修も実施しています。
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出典・参考
- JIS A 2201:2017「送風機による住宅等の気密性能試験方法」日本産業標準調査会
- 気密革命 測定プラットフォーム 実測案件集計
執筆:一般社団法人日本気密測定協会 理事/ヤマイチ株式会社 五十嵐最終更新:2026年9月10日