C値は住宅の隙間の量(気密性能)、UA値は住宅の熱の逃げやすさ(断熱性能)を示す、まったく別の指標です。最大の違いは、UA値が図面から計算できる設計値であるのに対し、C値は建物を実際に測らないと分からない実測値である点にあります。だから断熱等級が高くても、C値が悪ければ家は寒くなります。

この記事でわかること
- C値とUA値は何が違うのか
- なぜ断熱等級だけでは家の暖かさが決まらないのか
- 「UA値は良いのに寒い家」はなぜ生まれるのか
- 工務店にどう質問すればよいのか
C値とUA値の違いは何ですか?
測っているものが違います。C値は「穴の大きさ」、UA値は「壁や窓の熱の通しやすさ」です。
| C値 | UA値 | |
|---|---|---|
| 正式名称 | 相当隙間面積 | 外皮平均熱貫流率 |
| 単位 | cm²/m² | W/(㎡・K) |
| 示すもの | 家全体の隙間の総量 | 壁・窓・屋根から逃げる熱量 |
| 求め方 | 建物を実測する | 図面・仕様書から計算する |
| 決まる段階 | 施工(現場の精度) | 設計(仕様の選定) |
| 法的な基準 | なし(2026年時点) | あり(省エネ基準適合義務) |
| 良い値 | 1.0以下、推奨0.5以下 | 地域区分により異なる |
穴の空いたセーターで考えると分かりやすくなります。UA値は「セーターの毛糸の厚み」、C値は「セーターに開いている穴の大きさ」です。どれだけ厚い毛糸で編んでも、穴が開いていれば風は通ります。
断熱等級とUA値の関係は?
断熱等性能等級は、UA値の水準を段階で示したものです。等級が上がるほどUA値の基準が厳しくなります。
| 断熱等性能等級 | 位置づけ | UA値の基準(6地域の例) |
|---|---|---|
| 等級4 | 平成28年省エネ基準 | 0.87以下 |
| 等級5 | ZEH水準 | 0.60以下 |
| 等級6 | HEAT20 G2相当 | 0.46以下 |
| 等級7 | HEAT20 G3相当 | 0.26以下 |
※UA値の基準は地域区分(1〜8地域)により異なります。
ここで押さえておきたいのは、この等級のどこにもC値が含まれていないという事実です。等級7の住宅であっても、気密測定を行っていなければC値は不明であり、C値5.0の可能性を排除できません。

なぜ断熱等級が高いのに寒い家があるのですか?
理由は3つあります。いずれも隙間が原因です。
1. 隙間から冷たい空気が直接入ってくる
冬は室内が暖かく屋外が冷たいため、室内の空気は上へ動きます。上階の隙間から空気が抜け、その分だけ下階の隙間から冷たい外気が吸い込まれます。煙突と同じ原理です。この流れは断熱材では止められません。足元だけが寒い家の多くは、これが原因です。
2. 断熱材の性能が落ちる
繊維系の断熱材の中を空気が通り抜けると、断熱性能は設計値どおりに出ません。UA値の計算は「断熱材の中を空気が動かない」ことを前提にしています。気密が悪いと、この前提が崩れます。計算上のUA値と、実際の性能が乖離します。
3. 換気が計画どおりに動かない
住宅には24時間換気の設置が義務づけられています。給気口から入って排気ファンから出る、という経路が設計されています。ところが隙間が多いと、空気は給気口ではなく手近な隙間から入ります。結果として、換気したい部屋の空気が入れ替わらず、換気したくない壁の中を空気が通ることになります。壁内結露のリスクが上がるのはこのためです。
C値1.0が実務上の分かれ目とされているのは、この3つ目が成立しなくなる境界だからです。
高断熱の家に、気密性能が欠かせない理由
断熱性能の計算には、隙間から逃げる熱が含まれていません。
つまり、家に大きな隙間があっても、計算上の断熱性能は変わらないのです。
しかし、隙間があれば家の内と外で空気が移動し、実際の室内環境が変わるのは一目瞭然です。
以下の表を見るとわかるように、C値の違いによって、実際のUA値は異なるのです。
C値と実質UA値の比較
| 設計上のUA値 0.46 | |
| C値 | 実際のUA値 |
| 10.0 | 1.28 |
| 5.0 | 0.88 |
| 2.0 | 0.63 |
| 1.0 | 0.55 |
| 0.5 | 0.51 |
| 0.0(理想) | 0.46 |
・2階建て
・32坪(約106㎡)
・風速:和風※を想定
※和風 5.5~7.9m/s 砂埃が立ち、紙片が舞い上がる。小枝が動く。
UA値とC値、どちらを優先すべきですか?
どちらか一方ではなく、C値が土台でUA値が上物という関係です。
C値が悪いままUA値だけを上げても、上の3つの理由で性能が出ません。逆にC値を確保すれば、同じUA値でも体感が変わります。順序としては、まず気密を確保し、その上で断熱の水準を上げるのが合理的です。
もう1つ実務的な違いがあります。UA値はリフォームをしない限り後から変えられませんが、C値は工事中なら直せます。断熱材の仕様変更は設計段階までですが、隙間は気密工事の段階で見つければ塞げます。だから、工事中の気密測定(中間時気密測定)に価値があります。
工務店には何を聞けばよいですか?
次の4つを聞いてください。順番にも意味があります。
- 「C値の実測値はいくつですか?」 ——「1.0を目指しています」ではなく、過去の実測値を聞きます
- 「全棟で気密測定をしていますか?」 —— モデルハウスだけの測定は、自分の家の保証になりません
- 「中間時気密測定はしますか?」 —— 完成時だけの測定は、数値が悪くても直せません
- 「測定はJIS A 2201に準拠していますか?」 —— 準拠していない測定値は他社と比較できません
答えに詰まる、または「気密は測っていないが施工には自信がある」と返ってくる場合、その会社はC値を管理していません。気密は自信ではなく数値で示せるものです。

よくある質問(FAQ)
C値とUA値の違いは何ですか?
C値は家全体の隙間の量(気密性能)、UA値は壁や窓から逃げる熱量(断熱性能)を示す別々の指標です。UA値は図面から計算できますが、C値は実測しなければ分かりません。
断熱等級6や7ならC値も良いのですか?
そうとは限りません。断熱等性能等級はUA値の水準を示すもので、C値の規定は含まれていません。等級7でも気密測定をしていなければC値は不明です。
UA値が良いのに家が寒いのはなぜですか?
隙間から冷たい外気が直接入り込むこと、断熱材の中を空気が通って性能が落ちること、換気が計画どおり動かないことの3つが原因です。いずれも断熱材では解決できません。
C値とUA値はどちらを優先すべきですか?
C値が土台です。気密が確保されていないと、断熱材の性能も換気計画も設計どおりに機能しません。まず気密を確保し、その上で断熱の水準を上げるのが合理的です。
気密が高いと息苦しくなりませんか?
なりません。24時間換気は気密が確保されているほど計画どおりに機能します。気密が低いほうが、換気したい場所の空気が入れ替わらなくなります。
工務店にC値を聞いたら「1.0以下を目指しています」と言われました。
目標値ではなく、過去の実測値を確認してください。あわせて、全棟で測定しているか、中間測定を行っているかを聞くと、実際に管理しているかどうかが分かります。
C値は後から改善できますか?
内装が仕上がった後の改善は困難です。改善できるのは点検口や配管貫通部など表からアクセスできる箇所に限られます。工事中の中間気密測定が必要な理由がここにあります。
まとめ
- C値は隙間の量、UA値は熱の逃げやすさ。別の性能
- UA値は設計値、C値は実測値。ここが決定的な違い
- 断熱等性能等級にC値の規定はない
- 気密が悪いと、断熱材も換気も設計どおりに働かない
- 工務店には目標値ではなく実測値を聞く
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気密革命は、JIS A 2201:2017に準拠した気密測定を全国で行っています。これから家を建てる方、建築中の住宅の性能を確認したい方からのご依頼も承っています。
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出典・参考
- JIS A 2201:2017「送風機による住宅等の気密性能試験方法」日本産業標準調査会
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)/断熱等性能等級
- 建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(建築物省エネ法)
執筆:一般社団法人日本気密測定協会 理事/ヤマイチ株式会社 五十嵐最終更新:2026年9月10日